川崎市の農業を一緒に盛り上げてください!

川崎市(主催者)とセレサ川崎農業協同組合(協力)、そして川崎市内の農家の、

かわさきコンテンツアワード2010 Creator Meets Agricultureに寄せる熱い期待と思いをお届けします。


浜口 氏

浜口哲也 氏

川崎市経済労働局 産業政策部企画課 産業政策担当係長

太田 氏

太田徹 氏

川崎市経済労働局 産業政策部企画課 産業政策担当

“クリエイターに出会いたい”というのが始まりです

 「かわさきコンテンツアワード」は、クリエイターの発掘を目的に開催されます。われわれはこのアワードを通じて、多くのクリエイターのみなさんと出会いたいと思っています。

 2010年3月に川崎市は、コンテンツの力を活かしたコンテンツ産業を通じて市内産業の活性化を目指す「川崎市コンテンツ産業振興ビジョン」を打ち出しました。川崎市は工業地帯や電機・電子・情報機器の世界的メーカーがあることから、「ものづくりのまち」「働くまち」といった印象が強いようですが、実は、クリエイティブを学ぶ場所、クリエイティブな活動をする環境がたくさんあるんです。その豊かなクリエイティブの力で工業や商業や農業といった産業を盛り上げていこうというのが「川崎市コンテンツ産業振興ビジョン」です。

 そこでまず、コンテンツをうみだすクリエイターに関する基礎調査を実施したのですが、どのくらいの人数が、どんな活動をされているのか、正直われわれにはつかみきれませんでした。それではダメだ、とにかくわれわれ行政がクリエイターの実態を知る必要があると考えたのが、「かわさきコンテンツアワード」の始まりでした。


2010年度のテーマは「農業」

 本年度は、セレサ川崎農業協同組合(JAセレサ川崎)に協力いただき、「かわさきコンテンツアワード2010 Creator Meets Agriculture」と題し、クリエイターのみなさんから、川崎市の農業振興のためのアイデアやコンテンツを募集します。川崎市民の農業に対する関心は高く、「市内産農産物を手に入れたい」「子供に農業体験をさせたい」といった要望が多数寄せられており、事実、2008年に麻生区黒川にオープンしたJAセレサ川崎の農産物直売所「セレサモス」は、平日でも駐車場待ちのクルマの列ができるほどの人気です。

 これまでわれわれも農業振興のためのアイデアを考案してきましたが、「キャラクターをつくったらどうか」「直売所を増やしたらどうだろう」といったありきたりなものしか出てきません。農業を取り巻く厳しい状況がコンテンツの力だけで改善されると思っていませんが、クリエイターのみなさんなら、われわれの想像もつかないような、これまでのシステムをガラリと変える、既成概念を根底から覆すようなアイデアを生み出せるに違いないと期待しています。

 市内産農産品志向が高まり、住宅地にするのでなく農地として残したいという市民からの意見が多いにもかかわらず、現在川崎市の農地は約500ヘクタールと、この20年間で半減しています。後継者問題も深刻で、農業を取り巻く環境は一層厳しさを増しています。都市の中で農業をするためには、においだとかいろいろな問題があり、住民の理解が得られなければ続けられないといった側面もあります。農産物を生産するにはそういった現状もあるということを知ってもらい、農業に対する市民の理解と意識を高めるためにも、クリエイティブの力が必要なんです。


産業直結の「かわさきコンテンツアワード」

 「かわさきコンテンツアワード」の特徴は、受賞したアイデアやクリエイティブを川崎市内産業と結びつけ、ビジネスにつなげていくという、受賞と商品化・事業化が一体となっている点です。本年度は、受賞作品やアイデアをJAセレサ川崎に活用していただくという出口を設けました。普段エンターテインメントの分野で発揮されている力が生活に密着した産業の中でビジネスとして活きていることを、クリエイターのみなさんに喜びとして実感していただけるとうれしいですね。今後数年間にわたり、製造業、卸売・小売業、飲食業などのサービス業といったさまざまな業種でそういった事例を増やしていき、それをわれわれがフォーラムや研究会などで発信していくことで、産業振興にクリエイティブの力が広がっていくことを目指しています。

 今回はクリエイターのみなさんに川崎市の農業を知っていただくために、実際にセレサモスに行ったり、川崎市で頑張っている農家の方を訪問し、話を聞いたり農業体験ができるといった機会を設ける予定です。まずクリエイターのみなさんに川崎市の農業を知っていただきたい。農地は一度絶やしてしまうと、もう元には戻りません。宅地化は止められない流れではありますが、いまある農地をできるだけ維持し、川崎市民140万人が川崎市の農業のサポーターとなって、「農地はかわさきの宝だ」と言ってもらえるような、いつまでも、「農地のあるまち・かわさき」であってほしいと思っています。

 すぐれたアイデアやコンテンツにより、市内産農産物に付加価値がつけば、収入増が見込め、農家のみなさんのやる気も上がります。農業のイメージを変えてくれるようなクリエイターのみなさんの力をお待ちしています。


◎「川崎市コンテンツ産業振興ビジョン」における定義

  • 「コンテンツ」とは、映像・音楽・ゲーム・図書など、動画・静止画・音声・文字・プログラムなどの表現要素によって構成される情報の内容
  • 「コンテンツ産業」とは、コンテンツによって対価を産み出す産業に加え、さまざまな業種における商品開発、設計・デザイン、広告宣伝やサービス提供などの過程でコンテンツを活用し、産業の高度化に資する業態
  • 「クリエイター」 とは、みずからの創造性を発揮して、コンテンツの制作を業(なりわい)として行う者